令和4年度入選者寄稿文

秋葉琴紫

長年の夢を叶えて

私が詩吟に初めて出会ったのは、平成六年十一月でした。忘れもしません、友人の優勝祝いに呼ばれた時でした。その時友人が吟じた「早に白帝城を発す」は、それまで美空ひばりや、都はるみ、川中美幸、いわゆる「ど」演歌をよく歌っておりましたが、「早に白帝城」が、どことなく演歌に通じるところがあり、先生の「遊びがてらに来て」という言葉に教室に通い始めて、二十数年が経ちました。今まで何をしても中途半端な私をここまで惹き付けたのは何かと考えてみますと、わずか四句詩の中にアクセントを考え、言葉にいろいろな振りを入れて、強弱を付け詩情を表す、とても難しく奥深いところが魅力であったと思います。
ある程度吟じられるようになるとコンクールの話が出るようになり、クラウンはじめ各コンクールに出るようになりました。まずあがり症の克服から、又、様々な条件をクリアしなければなりません。二十数年掛け、そしてこの度漸くクラウンに入賞させていただくこととなりました。
実は私、コロナ禍前にコンクール挑戦を辞めることを師匠に伝えたところ「あと一回だけ挑戦して」と懇願され今年で最後と決め臨みました。それがこの様な良い結果で閉じることが出来、師匠には感謝の気持ちでいっぱいです。
翌日、喜びを胸に北海道、旭川に帰って友人、知人、仲間からのお祝いの電話や、温かい言葉を掛けられる度に、コンクールを思い出して嬉し涙にくれています。
仕事だけでは味わえない沢山の経験をさせて頂き、幸せを感じております。
これからは、社会に吟を通じて私のできる形で貢献できたらと思っております。