令和7年度入選者寄稿文

後藤田常堂

石垣

 この度、第52回クラウン全国吟詠コンクール決勝大会にて入賞させていただき、大変有難く、光栄に存じます。

 私が詩吟の道に入ったのは大学に入学した際、吟詠を主たる活動とする部活動の先輩に声をかけていただき、部員や組織の誠実さに惹かれ、入部をしたことがきっかけです。少し厳しい部活OBの師範の指導の下、活動していた部であり、「吟魂」が口癖であった師範は、個々人の吟哲学の重みや、吟詠・部活動を通じた人間性の涵養について、よく説いておられました。部を離れて10年近く経った今でも、部員に対し語られた言葉を思い出すと背筋の伸びる思いがします。

 この部活動で吟を好きになり、社会人となってからは、縁あって揚心流日本朗詠会の塩田先生にご指導を賜ることとなりました。「感動してもらえる吟をせないかん」「語らないかん」とよく仰られる先生の指導は大変的確で、己の未熟さ故に困難を感じる時もあります。ですが、いただく指摘には厳しさだけでなく、門下生の舞台での成功を願う温かさがあり、打たれ弱い私でも、なんとか付いていき、今日までこぎつけることができました。

 親切で向上心に溢れる教室生にも囲まれ、日々できることが増えていくことを楽しんでいたところ、今回のクラウン全国吟詠コンクールの地区大会へ出場し、現在に至ります。

 決勝大会では予選通過時の成績が奮わず、入賞は難しいと感じていました。ですが、大会中、海老澤会長がその御挨拶にてお話になった「自分自身がしっかりしていなければ、通らない」というお言葉と、予選後、何人かの方から「良い吟だった」と声をかけていただいたことを励みに、入賞させていただくことができました。

 さて、話は変わりますが、大学の学部教授であった恩師が、私を含めたゼミ生に「石垣には歴史の重みを感じます。」と話されたことがありました。

 今回いただいたご評価は、部活動の先輩方・後輩諸氏、塩田先生や揚心流日本朗詠会の皆様、大会を運営くださる吟界の先輩方をはじめとして様々な方の存在あって叶ったものなのだと、改めて実感しております。私自身、吟を通じて誰かを支え、また支えられながら、先輩方が積み上げられてきたクラウン吟友会という石垣に、自分の関わる一石々をぐらつかないようしっかりと積み上げてゆける、そんな吟者になれるよう努力を続けてゆきたいと思います。どうか、ご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。