令和7年度入選者寄稿文

山下苳苑

第52回クラウン全国大会入賞によせて

このたび「第52回日本クラウン全国吟詠コンクール決選大会」において入賞の栄に浴し、誠に光栄に存じます。開催に際しご尽力くださいました先生方に、心より御礼申し上げます。

十九年前、母の勧めで詩吟教室を訪れました。見学だけのつもりでしたが、教室に満ちる静かな情熱に心を奪われ、気がつけば入門書を手にしていました。その瞬間から、詩吟は私の人生に静かに根を下ろし始めたように思います。

翌年には会の二十五周年記念大会があり、合吟「鸛鵲楼に登る」に挑戦いたしました。初めは節回しも宮音も分からず、先生のコンダクターに合わせることしかできませんでしたが、録音を繰り返し聴くうちに少しずつ節が馴染み、大会では教室の先輩方と声を重ねる楽しさや、仲間とともに一つの構成吟を作り上げる喜びを知ることができました。

やがてコンクールに挑戦するようになり、結果を得る喜びを感じる一方で、上手な方と比べて落ち込むことも増えていきました。始めた頃は努力すればその分成長を感じられましたが、年月を重ねるにつれ上達の実感は薄れ、思うように前へ進めないもどかしさや不安を抱える時期もありました。先生のご指導も頭では理解できても体が応えきれず、詩吟が楽しいだけではなく、苦しさを伴うものへと変わっていった時期です。

その後、新型コロナウイルスの影響で教室やコンクールが中止となり、結果的に詩吟から離れる時間を持ちました。その間、別の学びに挑戦し、その仲間から「詩吟という生涯打ち込めるものがあることは特別なことだ」と言われ、自分がどれほど大切なものを持っていたかを改めて実感しました。離れていた期間が、詩吟の尊さを教えてくれたのです。

再び詩吟に向き合ったとき、肩の力が抜け、純粋に吟じる喜びを感じられるようになりました。大会にも再挑戦し、本年、念願の決選入賞を果たすことができました。
今回の決選では、同じ教室の伊藤顕堂師範とともに挑めたことも大きな支えでした。「一緒に入賞したい」という思いが力となり、結果につながったと感じております。

詩吟の魅力は、先生方や仲間の存在にあります。ここまで続けてこられたのは、その温かい応援のおかげです。今後はクラウン吟友会の一員として、吟力とともに人間力も磨き、詩吟の魅力をより多くの人に知っていただけるよう努めてまいりたいと思います。