令和4年度入選者寄稿文

原田理宝

コロナで彩りを失った3年の歳月のなかで今回の入賞を何より嬉しく思います。大会運営に携わって頂けました先生方には感染予防などにも御気遣いを頂き長時間の尽力を有り難う御座いました。
コロナ以前の私のお稽古は週1回で10時から始まり恩師である中田先生お手製の昼食とお茶を挟んで17時位まで皆さんが滞在されるグループレッスンに参加したり、仕事の都合で皆さんが帰られた後に個人稽古を受けさせて頂くというものでした。
食卓に所狭しと並ぶ先生の手作り料理をお腹いっぱい食べてお稽古をして茶菓子を食べながらその日あった事をお話したり、お料理の作り方を教わったりと教場はとても心地良く私の「居場所」になり、いつしか先生の事を東京のお母さんと思う様にもなりました。
そんな先生と「クラウン吟士になる」という目標を持って練習に励んできたので本当に嬉しく思います。表彰式が終わり会場に向かって礼をした際「おめでとう」という先生の声が聞こえマスク越しでも喜んで下さっているのが分かって目頭が熱くなりました。また、病状が安定しない祖母の事もありどうしても今年入賞して良い報告をしたかったのと、コロナで長らく帰省出来ていない実家にも60周年記念大会で広島に向かう際に帰省する事が出来るのもとても嬉しく思います。
吟歴7年で3度目の全国大会…コロナで思う様に練習が出来なかったり思い起こせば地区予選から色々な出来事がありましたが、決戦の抽選で1番を引いて呆然としていた私に「あたりー!」と笑顔で不安を蹴散らして下さった先生や「1番が居ないと大会が始まらないんだよ」「なかなか当たらない運が良い数字なのよ」と錚々たる顔触れの先生方が背中を押して下さり、気持ちをリセットして決戦に臨む事ができました。
また、当日応援に駆け付けてくださった方々やメッセージを送って下さった方々、流派が違えど共に切磋琢磨している吟友も駆け付けてくれて、憧れの先輩にも大会中にLINEでアドバイスを頂き、日頃より気に掛けて下さる諸先生方にも良い報告ができました。入賞を機にこんなに沢山の方々に出会わせてくれた詩吟に改めて感謝しました。
コロナで転職と引っ越しを余儀なくされ生きることに夢中になったこの3年。往復4時間の通勤に加えて夜勤で前の様な頻度で教場に通う事は出来なくなりましたが、クラウン吟士の名に恥じる事のない様に修練に励み、自分と向き合いながら次の目標に向かって諸先生方や応援して下さる方々に頂いた優しさを還元出来る人間になれる様に精進して参ります。どうぞ宜しくお願いします。