令和5年度入賞者寄稿文

田中耿岳

詩吟と私

私と詩吟との出会いは、学校を卒業して田舎から上京、就職先での歓迎会で学校の先輩が、広瀬淡窓の「桂林荘雑詠諸生に示す」を吟じてくれました。それから間もなく挫折して会社を退職する時、送別会で「将に東遊せんとして壁に題す」を聞き、上手下手もわからずにも大変に感動したものでした。当時宴会では歌わされることが多く歌が大のにがての私にとって苦痛の一つでもありました。
然し宴会で、先輩の「吟」になると会場は静かになり皆、聞き入ってました。
上手下手はわかりません、使い慣れない難しい言葉も理解できませんが、ところどころわかる言葉と発声に圧倒されました。自分にとってこれほど都合の良い「歌」はないと感じました。
その後挫折し2年ほど仕事にもつかず不本意な生活を送る生活の中で突然見つけた「吟詠教授」の看板!早速入門しました。それから間もなく再就職、吟をするところではなく退会。それから二十数年、退職前、老後を考え再入門させてもらいました。昔の教室は、先生も亡くなり知る人は2人程でした。その人たちも間もなく逝きました。
私も各種のコンクールに出させてもらえる様になり、10年、ようやく今回、クラウン吟士にさせていただきました。すでに70才を超えてしまいました。

 私は努力や辛抱が苦手です。伊奈かっぺいの「努力は積み重ねるから崩れる。
最初から寝ているひとに転ぶ人はいない。明日出来ることは今日しない。
明日することがなくなる。」 と、この言葉に年老いたせいか同感しています。
一夜漬けで、その場しのぎの人生ですが、よろしくお願いいたします。

 「馬上偶成」 伊達政宗
馬上に少年過ぎ 世 平らかにして 白髪 多し
残世 天の許すところ 楽しまざるは 此れ 如何ん 

最近は友人などと.人生を振り返りながら好きな詩を作譜し楽しんでおります。